ある中高年ランナーの悪あが記

加齢に伴う衰えを感じつつ、それを受け入れたくない中高年ランナーの奮闘記

ランニングの効用と私の実感その2(美肌、肩こりの改善)※女性必見

 先日(1/15)は、ランニングの効用について、巷間よく言われている次の8つ効用のうち、「1.脂肪燃焼・ダイエット」と「2.生活習慣病の予防」への効用と私の体験からの感想等を述べさせていただきました。

ランニングの効用と私の実感その1(脂肪燃焼・ダイエット、生活習慣病の予防) - ある中高年ランナーの悪あが記

1.脂肪燃焼・ダイエット

2.生活習慣病の予防

3.美肌

4.肩こりの改善

5.冷え性の改善

6.ストレス解消

7.脳の活性化

8.良質な睡眠

 

 そして、今日は「3.美肌」と「4.肩こりの改善」についてのお話をしたいと思います。

 3.美肌

 まず、3の美肌です。

 ランニングにより肌がきれいになる理由は主に3つほどあるようです。

 一つ目は、ランニングを行うことにより血行が良くなり、新陳代謝が活発になって肌の細胞が生まれ変わる「ターンオーバー」のサイクルが早くなる、というものです。

 なお、肌の生まれ変わりについて少し詳しく言うと、肌の一番外側にある表皮は、厚さ約0.2mmで、4つの層から構成され、下から基底層、有棘層、顆粒層、最も表面にあるのが角層と言うそうです。そして、表皮の一番下にある基底層では、基底細胞が分裂し、分化しながら皮膚表面に移動し剥がれ落ちますが、これに要する時間をターンオーバーと言い、28日間が一般的となっている、とのことです。

 う~ん。肌が早く生まれ変わってきれいになることは分かりましたが、人間の細胞ってヘイフリックの限界で50~60回ほどしか分裂できないはずなのに28日ごとに分裂するとは、どういうことなんでしょう?

 調べてみたら分かりました。

 基底層で分裂する基底細胞は「幹細胞」だったんですね。

 皮膚や骨や神経などの細胞(分化細胞)のもとになる幹細胞は、半永久的に分裂することができますので、たとえ28日ごとに分裂して50~60回を超えても、その後も分裂を続けることができるのです。

 二つ目の理由は、ランニングによる発汗で毛穴がきれいになる、ということで、これは分かりやすいですね。

  三つ目の理由は、ランニングによって適度な疲労感を感じ、ストレス解消やリラックス効果でぐっすりと眠ることができるので、それが美肌につながる、ということです。

 これも分かりやすいですね。快眠は、ランニングによって分泌されるセロトニンの効果でしょう。また、睡眠中は肌の新陳代謝が活発に行われることから、快眠が美肌につながるようです。

 

 以上の三つはよく言われていることですが、そのほかランニング誌などでは、「汗は天然の美容液」と言って、汗による美肌効果が記事になっていたことがありました。

 そこで同じような記事がないか検索したところ、NHKの番組情報で2019.5.14に放映された番組の中に「いい汗は天然の美容液!」というタイトルで、実際に汗をかくことで得られる美肌効果を写真で示すとともに、汗の中には化粧品などにも含まれる乳酸ナトリウムや尿素が含まれており、皮膚を潤す効果があることなどを紹介したことが書かれていました。

 興味がある方(特に女性の方)は次をご覧ください。

www.nhk.or.jp

 

 さて、このことに関する私の実感ですが、あまり肌については気にしていないので特に実感することはありません。ただ、ランニング後に顔を洗ったり、シャワーを浴びたりするとなんかぬるぬるというかつるつるするような感じがあります。これが、乳酸ナトリウムや尿素なのでしょうか?

 

 さらに、この記事を書き終えたところで、新たな発見がありましたので、ここに追記します。

 美肌には、コラーゲンが重要であることは皆さんご存知と思いますが、きれいな毛細血管の密度が高いほど、肌で作られるコラーゲンの量が増え、肌の弾力が保たれるようなのです。

 その毛細血管の重要性については次の記事をご覧ください。これもNHKの番組からのものです。

www.nhk.or.jp

  そして、血流を上げることが毛細血管を良い状態に保つ重要な方法であり、適度な運動により毛細血管が復活するとのことですので、ランニングも適度なものであれば毛細血管を増やし、美肌にする効果があると言えそうです。

 

4.肩こりの改善

 次に、4の肩こりの改善です。

 肩こりの原因は数十種類もあり、その中で多く見られるのが、「同じ姿勢、眼精疲労、運動不足、ストレス」によるもので、4大原因と言われているそうです。

 また、最近では肩こりと血圧との関係も注目されており、従来は低血圧の人に肩こりが多いとされていたのですが、反対に高血圧の人にも少なくないとのことです。

 そして、ランニングと肩こりの関係ですが、この4大原因のうち改善が期待できるのは、「運動不足」と「ストレス」による肩こりと思われます。

 肩こりを起こしているときの首や肩は血流が悪くなっていますが、それを改善するのが適度な運動です。

 運動は、それ自体が血流を改善する効果があるからです。

 また、筋肉は血液を送るポンプのような役割をしていますが、運動を続けることで筋肉量を維持・向上させ、さらには筋肉の柔軟性を確保できますので、肩こりを起こしにくい体になることが期待できます。

 以上が「運動不足」による肩こりの解消についてですが、次に「ストレス」による肩こりの解消についてです。

 ストレスによって肩こりが引き起こされるのは、身体の様々な機能を調節する自律神経をストレスが乱すためです。

 自律神経には、活動的なときに優位になる交感神経と、安静時に優位になる副交感神経があり、ストレスを感じたときは交感神経が優位になります。その結果、末梢血管が収縮し、骨格筋など一部を除き、血流が悪化するのです。

 血流が悪化して肩こりになるのは「運動不足」による肩こりと同じことですので、同様にランニングがその解消に有効になります。

 また、強度を上げたランニングでは交感神経が優位になり、ランニング終了後もしばらくその状態が続いてしまうのですが、強度が低いランニングの場合は、発生したセロトニンが副交感神経を優位に導く(※血流が良くなる)ことから、このことからもランニングが「ストレス」による肩こり解消に効果があるものと思われます。

 さらには、血圧が起因する肩こりについてですが、前述のとおり、肩こりは低血圧でも高血圧でも起こる可能性があります。

 そして、ランニングによる改善については、低血圧の場合はランニングが改善に効果があるかどうかは、はっきりとは分かりませんが(※軽い有酸素運動が良いとの話もあるようです)、高血圧の場合は、前回(1/15)のブログでもお話したとおり、ランニングには高血圧を改善する効果があります。つまり、高血圧に起因する肩こりもランニングで改善が期待できることになります。

 

 私自身は、ランニングや筋トレを始めた40歳代前半以前は、肩こりがあったのですが、現在では肩こりは全くありません。これも、ランニングの効果だと思います。

 ただ、本当にたまにですが、走り始めるとすぐに首こりが出現し、つらい思いをすることがあります。首の真後ろの後頭下筋群という部分です。

 この首こりの原因は、パソコンやスマホを見る時の姿勢の悪さや目の使い過ぎで筋肉が凝り固まることによる場合が多いようですので、気を付けたいと思います。

 

 次回は、ランニングの効用について、「5の冷え性の改善」と「6のストレスの解消」について書かせていただきますので、またご覧ください。

2021ウインターランニング(秋田市中心部融雪歩道ラン)は無事終了しました!

 先にこのブログでもお知らせしておりました2021ウインターランニング(秋田市中心部融雪歩道ラン)は、本日(1/17)無事に終了しました。

 秋田市では、先週の大雪のあと、気温が上がり、ようやく除雪も終わって、道路は雪が少なくなっていたのですが、昨夜また雪が降り、今日のランの道路状況が心配です。

 集合場所の秋田駅までの道路は雪が積もり、滑りやすくなっていました。

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 集合場所の秋田駅から出発です。今日は、秋田一ツ森RCから5人、他チーム等から2人の計7人の参加でした。

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 最初に、手形陸橋に向かいます。広小路から右折して大手門通りに入りましたが、ちゃんと融雪されており、快適に走ることが出来ました。

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 天気は曇りで風もそれほど強くなくて、この時期としては最高の天候です。

 手形陸橋を渡ります。

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 手形陸橋を渡り終えてから広小路に戻り、山王大通りを通って臨海十字路で引き返します。ただ、この区間は赤信号の時間が長い箇所が多く、タイミングが悪くて先頭から大分離されてしまいました。写真も撮れません。

 その後は、二丁目橋から土手長町通りを通ってラウンドワンがある13号線の十字路まで行き、そこから引き返して中通り5丁目の「華のゆ」でゴールです。

 途中でトイレに寄った人を除いて、まずはゴールした人で記念写真です。

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 その後は、先に帰った一人を除き、全員でのんびり入浴し、レストランで昼食です。まずは、乾杯!

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 このようなご時勢ですので、マスク会食にしました。早く、余計な心配をせずに、安心して飲食したいものですね。

 今回は、時期的なものもあり、参加者がやや少なかったのですが、春には2021スプリングランを実施したいと思っていますので、このブログをご覧になっている皆さんもぜひご参加ください。

 

ランニングの効用と私の実感その1(脂肪燃焼・ダイエット、生活習慣病の予防)

 一昨日(1/13)は、「ランニングと貧血」と題してランニングが貧血の原因となっている場合があることについて書かせていただきましたが、今日はランニングにはそれらのマイナス面を上回る数多くのプラス面があることを私の実感を交えて書いてみようと思います。

 ランニングの効用については、ランニング誌を始めとする雑誌や書籍あるいはTVなどで広く喧伝されていますので、皆さんご存知のことと思いますが、ここで改めて、よく言われていることについて掲げてみます。

1.脂肪燃焼・ダイエット

2.生活習慣病の予防

3.美肌

4.肩こりの改善

5.冷え性の改善

6.ストレス解消

7.脳の活性化

8.良質な睡眠

 大体、こんなところでしょう。良いことづくめですね。では、一つ一つもう少し詳しく内容を見ていきたいと思います。

 

1.脂肪燃焼・ダイエット

 まず、1の脂肪燃焼・ダイエットですが、これは誰しもが異存の無いところでしょう。

 ランニングは長距離走においては、そのエネルギーを有酸素運動によって賄っており、有酸素運動の際のエネルギー源は、グリコーゲン又は脂肪になります。

 そして、運動強度が高い場合にはグリコーゲンが優先して使われますが、運動強度が低い場合には脂肪がエネルギー源として使われることが多くなりますので、長距離の比較的運動強度が低いランニングにおいては、かなり脂肪が燃焼されることになります。

 

 ここで、ランニングによる消費エネルギーの計算式をご紹介します。

消費エネルギー(kcal)=1.05×エクササイズ(MATs・時)×体重(kg)

というものです。このMATs値は、ランニングスピードごとに定められておりますので、詳しくは次をご覧ください。

ランニングの消費カロリー計算方法。効果的に消費するには? | POWER PRODUCTION MAGAZINE(パワープロダクションマガジン)

 そして、私の平均的な練習をこの式に当てはめてみます。

 ランニングスピードを10.8km/時、ランニングの時間を1時間、体重が52.5kgとすると、別表によりMATs値は、10.5となりますので、

消費エネルギー(kcal)=1.05×10.5×1×52.5=579

となります。

 そして、1か月に20日間、この練習をしたとすると練習による消費エネルギーは1か月で11,580kcalとなります。

 この消費エネルギーを仮にすべて体脂肪で賄ったとすると、純粋な脂肪は1gで9kcalですが脂肪細胞には2割ほど水分などが混じっていますので体脂肪は1gで7.2kcalとして、1か月で1,608gの体脂肪を燃焼したことになり、ダイエット効果も非常に大きくなります。

 これは、あくまで消費エネルギーのすべてを脂肪で賄い、食事等の摂取エネルギーも普段と変わらないことを前提にした計算ですが、実際の私の体重の変化を見ると、

 ランニング開始前年の1995年には61kg台の体重が、ランニング開始翌年の1997年には59kg台になり、その後も少しずつ体重が減りました。そして、走行距離が大幅に伸びた2003年には体重が54kg台まで減少し、2021年の現在は52kg台となっています。

 このことからも、ランニングによるダイエット効果は間違いがないと言えるでしょう。

 2.生活習慣病の予防

 次に2の生活習慣病の予防です。

 生活習慣病、食事・運動・休養・喫煙・飲酒などの生活習慣が、その発症や進行に関与する病気を指し、糖尿病、脂質異常症、高血圧症などが代表的なものです。

 生活習慣病とランニングの関係を見てみましょう。

①糖尿病

 まず、糖尿病です。

 糖尿病は、血液中の血糖を一定の範囲におさめる働きを担っているインスリンが十分に働かないため、血糖が増えてしまう病気ですが、ランニングなどの有酸素運動により筋肉への血流が増えると、糖がどんどん細胞の中に取り込まれてインスリンの効果が高まり、血糖値が改善すると言われています。

 さらにもう少し詳しく説明します。

 早稲田大学スポーツ科学学術院教授・樋口満著「体力の正体は筋肉」という本の中で、樋口氏は「糖尿病は、筋肉が原因の病気です」といってもいいくらいだと記述しています。その理由は、次のとおりです。

筋肉細胞内には、GLUT4(グルコーストランスポーター)という糖輸送たんぱく質があります。血糖値の上昇に反応してすい臓から血液中にインスリンが分泌され、筋細胞の表面にあるインスリン受容体に結合すると、細胞内で化学反応が進行します。GLUT4が筋肉細胞の表面に移動してきて、血糖を取り込むためのゲートが開き、そこから血糖が取り込まれるのです。よく運動をしている人は、運動をしていない人に比べて筋肉内のGLUT4の量が2倍ほど多くなっているので、わずかなインスリンですみやかに血糖値を低下させることができます。」とのことです。これが、「インスリンの抵抗性の改善」なのでしょう。

 私は、過去も現在も糖尿病ではありませんので、ランニングによる糖尿病改善の効果を実感することはありませんが、運動をやめてしまうとわずか3日ほどでその効果が失われていくという話もありますので、休養も大切ではあるものの、あまり間を空け過ぎないで走り続けようと思っています。

脂質異常症

 次に、脂質異常症です。

 脂質異常症は、かつては高脂血症と言われ、体内で脂質の流れがうまく調節できなくなったり、食事として体内に入ってくる量が多くなり過ぎたりして、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が多くなり過ぎている状態又はHDLコレステロール(善玉コレステロール)が少なくなり過ぎている状態が続く病気です。

 

 そして、脂質異常症に対するランニングの効用についてです。

 ランニングなどの有酸素運動HDLコレステロールを増やすことは以前から言われていたことですが、その機序は私は知りませんでした。

 また、中性脂肪(トリグリセライド)の血中濃度を下げることについては、有酸素運動により血液中の脂肪酸が大量に消費されるのでそれは当然の結果だろうと単純に考えていました。

 

 そこで、せっかくの機会ですので、有酸素運動脂質異常症を改善させるその機序をインターネットで調べてみました。

 

  しかしこれはなかなか複雑なようで、ほとんどの記事が「脂質異常症の改善には有酸素運動が有効である」というような結論だけで、その機序が示されている記事はなかなか見当たりません。

 そのような中でようやく、厚生労働省がアップしている「e-ヘルスネット」に脂質異常症を改善するための運動」という記事を見つけました。

 これによると、有酸素運動が血中脂質レベルを改善させる機序として、筋のリポプロテインリパーゼ活性が増大し、トリアシルグリセロール(血中カイロミクロン・VLDL・LDL)の分解を促進させることにより、HDLを増やすことが関与していると考えられます。」とあります。

 でも、これでは、私にはよくわかりません。

 まず、聞きなれない言葉を調べたところ、次のとおりでした。

リポプロテインリパーゼ・・・中性脂肪を分解する脂質分解酵素

トリアシルグリセロール・・・中性脂肪の一つ(※ほとんどを占める)

 ということです。

 そして、最初の有酸素運動により、筋のリポプロテインリパーゼ活性が増大する」という部分ですが、2014年に東大大学院 農学生命科学研究科の佐藤隆一郎教授らの研究チームが発表した「運動による脂質代謝改善効果の分子機構を解明」という研究では、「運動による代謝改善効果の分子機構は、骨格筋においてエネルギーセンサータンパク質AMPKを活性化することから始まり、PPARγ1の上昇を介してリポタンパク質リパーゼLPLの発現が亢進するという経路を、初めて明らかにしました。

 その内容は、次のとおりです。

運動による脂質代謝改善効果の分子機構を解明 - エネルギーセンサータンパク質AMPKの骨格筋における新たな役割 - 

  なるほど。これで「有酸素運動により、筋のリポプロテインリパーゼ活性が増大する」という部分は分かりましたし、その結果、トリアシルグリセロールの分解が促進されることも、リポプロテインリパーゼとトリアシルグリセロールの言葉の意味から納得しました。

 ただ、最後のトリアシルグリセロールの分解を促進させることによりHDLが増えるところの機序が分かりません。

 そこで、このことを解説した記事が無いか、インターネットで探してみたのですが、見つけることができませんでした。

 よって、有酸素運動脂質異常症を改善させる詳しい機序を最後までここで説明することはできませんが、有酸素運動中性脂肪の分解に寄与するところまでは分かりましたので、まあ、半分くらいは納得です(笑)。

  

 なお、有酸素運動による脂質異常症の改善について、インターネットの記事では、そのほとんどが、効果的な運動として、速歩きやスロージョギングなどの中等度の強度の運動を推奨しています。

 では、それらより強度の高いランニングには、その効果は無いのでしょうか?

 これについては、良い記事を見つけました。

 現在、昭和大学医学部循環器内科の教授である木庭新治氏の論文で「脂質異常の人のための適度な運動」というものです。

 その内容は、「平均年齢44歳の男女2,242人を、運動習慣が無い無運動群(0)、散歩などの軽い運動を週3回以上行っている軽度運動群(1)、週1~2回の筋力トレーニングなどを行っている中等度運動群(2)、ジョギングなどを30~60分週3回以上行っている過度運動群(3)、マラソンなどを行っている耐久性運動群(4)の5群に分けて比較したところ、運動量の増加と血清中性脂肪値は負関係が、また、HDLコレステロール値とは正関係が認められた。

 そして、運動量が1群増すごとに中性脂肪値は10mg/dl低下し、HDLコレステロールは5mg/dl上昇した。」

 というものでした。

 つまり、スロージョギングなどよりももっと速い速度のランニングの方が中性脂肪の減少とHDLコレステロールの増加に、より多く寄与することが明らかにされたのです。

 

  なお、私の検査値ですが、持っているデータの中で唯一、ランニングを開始する前のもので平成5年12月(41歳)ですが、中性脂肪(基準値30~149)は106と基準値の真ん中より若干上になっています。そして、直近は令和2年10月(68歳)のデータですが、57となっておりランニング開始前の半分程度になっていますので、ランニングの効果は十分ありそうです。

 また、HDLコレステロール(基準値40~)については、ランニング開始前のデータはありませんが、ランニング開始後2年を経過した平成10年11月(46歳)には67だったのに対し、直近の令和2年10月(68歳)のデータでは77となっており、基準値をクリアするのはもちろん、以前よりも若干良い数値となっています。

③高血圧症   

 次に、高血圧症です。

 もう20数年前に読んだ本では、高血圧症のほとんどを占める本態性高血圧については、その原因ははっきりしていないと書かれていたことを記憶しています。

 よって、ランニングが高血圧症の改善に寄与する理由は、はたして分かるのか不安でしたが、一応、調べてみました。

 

 そしたら、これは簡単に見つかりました。

 最も分かりやすいのは、医療法人有光会サトウ医院のHPの中の「高血圧にとって運動はいいの?悪いの?」という記事でした。次のとおりです。 

「一般的に適切な運動療法が軽~中等症の高血圧患者さんの血圧降下に有効であることはいくつかの調査によって確かめられています。その機序として、運動を続けることによりタウリンやプロスタグランディンといった血圧を下げる物質の体内での産生が亢進し、逆にカテコラミンなどの血圧を上昇させる物質の産生が減少することなどが挙げられています。また、運動を続けることでストレスや肥満を解消させることも高血圧治療には有効となります。」と、なぜ運動が高血圧症の改善に寄与するのか、その理由を明確にしています。

 

 また、運動トレーニングと高血圧症の改善についての詳しい研究結果も見つけました。

 現・筑波大学体育系教授の前田政清司氏が執筆した「身体運動と心血管系機能」という記事で、「有酸素運動の継続により大動脈伸展性が増大し、血圧の低下をもたらす」というものです。

 また、この記事には、「身体活動には、加齢に伴う大動脈伸展性の低下を遅らせる効果がある」ことをデータで示していますので、私のような中高年ランナーには励みになります。興味があればご覧ください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits1996/11/10/11_10_36/_pdf

 

 なお、私の検査値ですが、最も古いのは平成11年10月(47歳)の時のもので、最高血圧が140、最低血圧が92と高めでした。その後は、最高血圧が130台、最低血圧が80台のことが多く、直近の令和2年10月(68歳)には、最高血圧が126、最低血圧が82と基準値以内に収まっています。まあ、血圧は1日のうちでも変動しますので検査値はたまたまかもしれませんが、一般的には血圧は加齢とともに増加する傾向にあるにもかかわらず、逆に減少傾向にあるということは、ランニングの効果かもしれませんね。

 

 ようやく、「2の生活習慣病の予防」まで終わりました。「3の美肌」から「8の良質な睡眠」については、後日にしたいと思います。

 長々とお付き合いさせてしまい、すみませんでした!

  

ランナーと貧血

 先月下旬、特定健診の結果が届きました。

 検査結果は、GOTが31と基準値を1だけ上回っていましたが、これはいつものことですので、あまり気にしていません。毎日欠かさずに晩酌をするのでやむを得ないでしょう。

 その他では、赤血球数が378(基準値410~530)、血色素量(ヘモグロビン)12.9(基準値14.0~18.0)と基準値を大幅に下回りました。明らかに貧血のようです。

 

 ランナーには貧血が多いとよく言われます。

 その理由は、①ランニングにより足の裏に強い衝撃を受けると溶血が起こる可能性があること②ランニングにより大量の汗をかいた場合、発汗により鉄分が流失すること、そして③レースなどの高負荷で長時間の運動を行うことにより筋肉への血液供給が著しく増大すると消化管への血液供給が不足して粘膜から出血することがあること、などが主な理由です。私もフルマラソンを走った後に血便が出たことがありました。

 これらは、医学的にも証明されており、また、ランナーと非ランナーとの比較でもランナーの方に貧血が多いとの研究結果もあるようです。

 そして今日は、私がランニングを始めて間もなくから現在までの血液検査のデータを比較して、同一人におけるランニングと貧血の関係を見てみたいと思います。

 次は、私の平成9年から令和2年までの赤血球数、血色素量(ヘモグロビン)それに平均赤血球容積の数値です。

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 貧血の判断材料となる赤血球数や血色素量は、平成9年と平成10年には、なんとか基準値内に収まっていたのですが、平成11年から昨年(令和2年)までは、ほとんど基準値を下回っています。

 私が走り始めたのは平成8年ですが、平成8年は練習量は極めて少なく、平成9年も年間走行距離が1,500km強と現在よりだいぶ少な目でした。また、平成10年は少し年間走行距離が伸びたのですが、それでも2,300km強と月間平均の走行距離としては200km以下です。

 しかし、赤血球数や血色素量が基準値を下回るようになった平成11年からは年間走行距離が次のように増えています。

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 もちろん、年間走行距離だけでランニングと貧血の因果関係を断定することは無理があり、検査前の一定期間のランニングの量や強度も勘案して判断すべきでしょうが、現在持ち合わせている資料だけでみると、私の場合もランニングが貧血に何かしらの影響を及ぼしている可能性は高いものと思われます。

 

 長距離のランニング時(有酸素運動)に必要とされるエネルギーは骨格筋内のミトコンドリアで産生されるのですが、そのためには酸素が必要です。式に示すと次のようになります。 

糖質・脂質 + 酸素 → 二酸化炭素 + 水 + エネルギー(ATP

 つまり、長距離のランニング時には、骨格筋に届く酸素が少ないと産生されるエネルギーが少なく、速く走れないことになります。

 ところが、貧血というのは血液中の血色素量(ヘモグロビン)が少ない状態を言い、ヘモグロビンは酸素を含んだ血液を筋肉中のミオグロビンに運ぶ役割を担っていますので、貧血であるとエネルギー産生が少なくなる、つまり速く走れなくなってしまいます。

 速く走りたくて一生懸命に練習を重ねても、それが逆に速く走れなくなる原因をつくってしまう危険性があるとは、皮肉なものですね。

 ただ、ご承知のとおり、貧血には鉄欠乏性貧血が多く、体内の鉄分が不足している状態なので、食事で鉄分を多く含む食品を摂取する等により改善される場合があるとされています。もちろん、状態がひどい場合には、医療機関を受診することも必要でしょう。

 

 ところで、先ほどの検査値の表をもう一度ご覧いただくと、私の平均赤血球容積(MCV)は、令和元年の検診時を除き最初からずっと基準値を超えています。

 実は、私はこの平均赤血球容積の数値が高いので、3年程前まで、10年近く血液内科を受診していました。

 平均赤血球容積とは、1個あたりの赤血球の大きさを示すのですが、この平均赤血球容積が大きい場合は、まれに骨髄異形成症候群という骨髄系細胞に由来する悪性腫瘍が起因することがあります。私は、半年に1回検査を受け、血液の顕微鏡検査をしてもらっていましたが、幸い、骨髄異形成症候群ではありませんでした。

 そして、受診時には一般的な血液検査も行うのですが、鉄欠乏性貧血の際に不足するフェリチンは不足していませんでした。ということは、鉄欠乏性貧血ではないようです。

 ところが私には葉酸が不足していました。それに加えて平均赤血球容積が大きく、骨髄異形成症候群ではないとすれば、巨赤芽球性貧血が疑われることになります。

 この場合、治療法は葉酸を補充することですが、受診時には特に薬は処方されませんでした。この程度であれば、治療の必要はないものと判断されたのでしょう。

 ただ、私はマラソンという十分な酸素供給が非常に重要な競技を行っていますので、そのためには葉酸の補充が必要となります。

 受診中は、検査数値に影響を与えてはいけないと思い、あまり積極的に葉酸の補充は行っていませんでしたが、現在は受診していませんし、昨年10月の検査数値では、近年になく貧血が悪化していますので、これからは葉酸サプリメントをもっと積極的に摂取したいと思っています。

 これで、マラソンのタイムが良くなれば御の字なのですが・・・。

 

何のために走るのか?

 私の住む秋田市では、冬期間は雪が降ることが多く、時には吹雪になることもあります。(今年は久々の大雪になり、積雪量は現在50cmを超えています。)

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 そして、運悪くランニング中に天候が急変して吹雪の中でランニングを続けざるを得ないことも年に何回かあります。

 身体が凍えそうになるばかりでなく、風と雪で目を開けていられなくなるのですが、そんな時には私はよく「俺って何のために走っているんだろう?」と思います。

 ただ、無事に帰宅するとホッとして、そんなことはすぐに忘れてしまうのですが、今日は、そのことについて自分で整理してみます。

 

 まずその前に「何のために走るのか?」ということについて、一番悩んだのは1964年の東京オリンピックのマラソンで銅メダルを獲得し、その3年後には自死された円谷幸吉さんではないでしょうか?

 私が大学生の頃、ピンク・ピクルスという女性フォークデュオがあって、彼女たちが歌っていた歌で「一人の道」という曲があります。

 私と同世代の方ならご存知の方もいると思いますが、歌詞をご紹介します。

ある日走ったその後で  僕は静かに考えた
誰のために走るのか   若い力をすり減らし

雨の降る日も風の日も  一人の世界を突っ走る
何のために進むのか   痛い足を我慢して

大きな夢は唯一つ   五つの色の五つの輪
日本のためのメダルじゃない   走る力の糧なんだ

父さん許して下さいね   母さん許して下さいね

あなたに貰ったものなのに   そんな命を僕の手で


見て欲しかったもう一度   表彰台の晴れ姿
だけど体は動かない   とってももう走れない

これ以上・・・・走れない

 

というものです。

 

 また、ピンク・ピクルスのメンバーだった茶木みやこさんが歌っている動画を見つけましたのでお聞きください。

一人の道 youtube - Bing video

 

 円谷さんは、次のメキシコオリンピックに向けての周囲からの異常な期待と重圧を受け、それに応えようと必死に頑張っていたのですが、怪我等によりそれが叶わないと悟り、責任を感じたのでしょうか、自死という道を選択してしまいました。

 本当に痛ましいことです。

 

 話を元に戻しまして、私の走る理由は、もちろん円谷さんのように周囲の期待に応えることでは、ありません。言うまでもないことですが・・・。

 

私が走る理由は、

走るのが好きだから

 「走るのが好きだから」、というのは、あまり当たっていないと思います。ランニング時に楽しいとか気持ちいいとか感じる時は10%くらいしかありません。大概は走る時には苦しいし、長い距離は飽きるので、走ること自体が好きだからというのは、大きな理由にはなり得ません。ただ、走った後の満足感を含め、生活の中にランニングを取り入れていることによる充実感のようなものは間違いなくあります。

健康のため

 「健康のため」、これは理由の30%くらいを占めると思います。私は出来るだけ長く健康を保ちたいと願っており、それは家族のためでもあり、国民の医療費や介護費の増加防止へのささやかな貢献でもあると思っています。

 ランニングは、健康の維持・増進のために有効とされる有酸素運動の代表的なものであり、また、私は、より良い走りをしたいと日々の生活習慣にも気を配っているので、間違いなく健康には有用な行動と言えるでしょう。

 ただ、時には必ずしも健康に良いとは言えないであろう負荷の高い走りをすることもありますので、これも主たる理由にはなりません。

自己実現のため

 私が走る理由の中で最も大きいのは、「自己実現のため」のような気がします。

 ですから、その目的に到達するための手段は、別に「走る」ことで無くても良いのです。

 でも、いくつもある選択肢の中で私が「走る」ことを選んだのは、やはり走ることが好きだからなのでしょうか?

 ランナーにおける「自己実現」ということをもう少し具体的に言うと、目標とするタイムで走ること、それに向けた練習を日々重ねること、そして大会に出場する人はそこで満足する成績を残すこと、ということになると思います。

 ところが、これには大きな落とし穴があります。そうです。それはこのブログのテーマでもある加齢に伴う走力の低下です。

 これまでもこのブログで再三お話ししているように、加齢(老化)は生物学的にも身体能力に大きな影響を与え、ランニングにおいても走力の低下の要因となってしまいます。

 その結果、一般的には加齢に伴い、タイムは低下することになります。

 そして、「ああ、もう年だから無理だ。」として「自己実現」を諦めてしまう人も多いと思います。

 また、ここで諦めずに練習の強度や量を上げて、目標の達成を図る人もいるでしょう。そのことにより、首尾よく目標達成できる場合もあるでしょうが、一般的には加齢に伴い故障のリスクが増加し、また、故障からの回復期間も遅くなりますので、この方法によって目標達成を図ることは至難の業と思われます。

 私が置かれているのがまさにこの状況でした。この状況では、早晩「自己実現」を諦めざるを得ないでしょう。

 では、どうやって「自己実現」を図るかというと、まず、加齢を受け入れて、目標の設定は加齢を十分に考慮したものにすべきです。

 10年前の自分にはどうしても敵いっこありません。身体能力が加齢ともに低下するのは自然の摂理であり、決して自分の努力が足りないからでも意志が弱いからでもないでしょう。

 適正な目標設定をするためには、同年代のランナーのタイムを参考にすれば良いと思います。

 もちろん、もともと身体能力に優れている人もいれば、その逆の人もいます。ですので、それらの人たちの現在のタイムそのものを目標にするのではなく、それらの人たちが加齢によりどの程度タイムが落ちているかを知り、その悪化率を自分の過去のタイムに当てはめて、自分の現在の目標タイムを設定をすることが、中高年になってもランニングで「自己実現」を図る数少ない方法のうちの一つだと思います。

 そして、同じ年代のランナーのタイムの悪化率ですが、以前、私は月刊誌「ランナーズ」の「全日本マラソンランキング 」のデータを分析し、この企画が始まった2004年度の各年齢上位100人のそれぞれが2019年度までの15年間でどれくらいタイムが落ちたのかをまとめました。それは次のとおりです。

全日本マラソンランキング(加齢とタイムの関係) - ある中高年ランナーの悪あが記

 

 この記事でお分かりのように、ある程度意欲をもって現在もランニングを継続していると思われるランナーで私と同じ年齢の人は、15年間で22.4%ほどタイムが落ちていました。そして、これからも年々同じ割合でタイムが落ちていくと仮定すると(※実際は年齢を重ねるごとにその割合は高くなるでしょうが・・・。)、私は2021年度には4時間前後のタイムとなってしまします。

 よって、大事なことは4時間というタイムとなったとしても、それが普通なんだと割り切って、決して自分を責めないこと、ランニングへの情熱を失わないことが大事だと思います。

 とはいうものの、自分の中ではまだサブ3.5復帰を諦めているわけではありません(笑)。

chuukounenrunner.hatenablog.com

 

などと真面目な話をしてしまいましたが、私が走る本当の理由は、ビールをおいしく飲むためでした(笑) 

2021ウインターランニングのお知らせ~一緒に走りましょう!~

 私の所属する「秋田一ツ森RC」では、以下のとおり、2021ウインターランニングを実施します。クラブの会員以外の参加も大歓迎です。信号も多くゆっくりランですが、冬でなかなか走る機会が少ないという方は、ぜひご参加を!

 日時:2021年1月17日(日) 9:30 秋田駅中央改札口集合

               9:40 秋田駅西口出発

              11:20 「華のゆ」到着

              11:20~12:10 「華のゆ」で入浴。※900円

                                           12:20~13:20 レストラン花茶屋で昼食後解散。

               ※マスク、タオル、着替えを持参のこと

「華のゆ」のHPです。

スーパー健康ランド 華のゆ|秋田

 

参加を希望される場合は、1月13日(水)までに、秋田一ツ森RCの会長・大坂(window23@cameo.plala.or.jp)へご連絡ください。後ほど担当者からご連絡を差し上げます。 

 

 コースは、融雪歩道を走ります。

 まず、秋田駅西口から出発です。手形陸橋を渡り終えたところで戻り、広小路を通って山王大通りを臨海十字路まで行き、そこで二丁目橋まで戻ります。そこから土手長町通りを進みラウンドワンまで行って戻って「華のゆ」のある「ルートイングランディア」までの12.1kmのコースです。

 ただ、気象状況が極端に悪い場合は、延期するか又は全ルートを走らずに短縮するかもしれません。

 また、県内における新型コロナ感染症の発生状況等によっては、「華のゆ」での集団での飲食は中止するかもしれません。

 延期や飲食中止の場合は、前日までに担当者からご連絡致します。

 

 ご参考までに、2020サマーランニングと2020オータムランニングの様子をご覧ください。

chuukounenrunner.hatenablog.com

chuukounenrunner.hatenablog.com

 では、ご連絡お待ちしています!

 

こんなにあった!間違ったトレーニングの常識

 一昨日(1/1)は、「一年の計は元旦にあり」ということで、元旦に立てた計画をご紹介させていただきました。

 「一年の計は元旦にあり」は、いわゆる「格言」でしょうから、訓戒又は助言として有用な言葉として素直に従いたいと思いますが、世の中にはこれまで常識と言われてきていたものが実は間違いだったということが数多くあります。

 そこで、今日はその中でも運動に関する間違った常識について、思いつくままにお話ししたいと思います。

運動中の給水

 私が学生の頃には、運動中に水を飲んではいけない、と言われていました。

 私は 、運動には縁がなかったので、直接そのようなことを言われたことはありませんが、当時はそれが常識でした。

 それが今では、熱中症の予防のため水分補給の大切さが叫ばれており、まったく真逆の状態となっています。

ウサギ跳び

 「ウサギ跳び」ってご存知でしょうか?今の若い人はご存じないかも知れませんね。

 膝を深く曲げてしゃがんだ姿勢のまま、主に足首の曲げ伸ばしで跳躍を繰り返すトレーニング法です。「巨人の星」のアニメで主題歌が流れる時に主人公の星飛雄馬がウサギ跳びをしているシーンが出て来ますが、あのトレーニングです。と言っても、若い人は「巨人の星」も分からないかな?

 これは、体育の時間によくやらされた記憶があります。

 ところが、1980年頃から「ウサギ跳び」は、膝や足首の筋肉を傷める危険性があるということが言われ始め、今では禁止されているようです。

腹筋運動(シットアップ)

 腹筋運動で代表的なものは、シットアップと言って、仰向けに寝ている状態から上体を起こす動作です。

 私も以前はこのトレーニングを行っていました。しかし、このトレーニングによって腰を痛めることがたびたびあったので、1~2年前から行っていません。

 そして、先日偶然見つけたのが、日本バスケットボール協会腹筋運動は腰痛の原因となるので推奨できないとしたこの記事です。

www.asahi.com

 腹筋運動を行うとすれば、シットアップではなく、上体を起こさずに胸部を曲げるカールアップが安全のようですね。

乳酸は悪者?

 私がランニングを始めた1996年頃は、まだスポーツ誌などでも乳酸は「疲労物質」として認識され、「乳酸が溜まって動けなくなる」とか「乳酸が溜まって疲れが取れない」などと言われていました。

 短時間で強度の高い運動をして疲労困憊になった選手の血液を採取した時に乳酸値が上昇していたことから、疲労の原因が乳酸にあると思われたようです。

 でも、その後、この考えが間違っていることが複数の研究で証明され、現在では乳酸が疲労物質ではないことが常識となっています。

 考えてみれば、強度の高い運動をするためには多くのエネルギーを必要とし、有酸素系のエネルギー供給では間に合わないことから、乳酸系のエネルギー供給を行うことになり、その場合、エネルギー源のグリコーゲンは最後は乳酸にまで分解されるので、血中乳酸濃度が上昇するのは当然のことです。

 1996年頃は、まだスポーツ誌などでも乳酸は「疲労物質として認識されていた」、と先に述べましたが、その頃私が読んだ疲労と体力の科学」(矢部京之助著)という本には、「運動をはじめてから数分間は酸素の供給が間に合わないためにグリコーゲンは無酸素的に分解される。その最終産物の一つに乳酸の生成がある。乳酸の蓄積が一定水準に達すると筋活動はおこらなくなることから、疲労の原因は乳酸の蓄積と考えられたのである。」と、その時には既に「乳酸=疲労物質」という考えは間違いであることを示唆しています。そしてその本の初版は1986年に刊行されていますので、一部ではだいぶ以前から乳酸が疲労物質ではないと思われていたようです。

 それにもかかわらず、その後も長い間、乳酸は悪者として扱われていましたが、最近ではようやく多くの人から乳酸は疲労物質ではなく、生成された乳酸はエネルギー源として持久的な運動を司る遅筋繊維や心筋細胞内のミトコンドリアで利用される有用な物質であることが理解されるようになりました。

 なお、乳酸を悪者とした理由の一つに、「筋の中の乳酸濃度が非常に高くなると筋のpHが極端に低下し、それが筋の硬直や痛みを引き起こし、さらにはこのような状態では無酸素エネルギーを発生させる酵素の働きが抑制されるため、エネルギーが不足して運動を続けられなくなってしまう」という説がありました。しかし、2016年に刊行された「すべての疲労は脳が原因」(梶本修身著)と言う本には、「(このような時にも)筋肉内のpHは一定範囲内に保たれており、運動によって極端に酸性に傾くことはありません。さらに最新の研究では、乳酸の増加とそれに伴う若干の酸性化はむしろ筋肉の活動を促進することがわかってきています。」ということが書かれており、ここでも乳酸が悪者であることが否定されています。

BCAA(分岐鎖アミノ酸)の疲労回復効果

 BCAAってご存知でしょうか?

 タンパク質は、約20種類のアミノ酸で構成されており、そのうち9種類は体内では合成できない必須アミノ酸です。そして、そのうちの3種類のバリン、ロイシン、イソロイシンをBCAA(分岐鎖アミノ酸)と言います。

 数年前までは、BCAAは運動時の疲労回復に効果があると言われており、それらを含んだスポーツドリンクがその効果を前面に打ち出して大々的にCMを流していました。私も何度も購入して飲んでいましたし、マラソン大会においても給水所でスポーツドリンクとして提供されることもありました。

 その疲労回復効果の理論はこうです。

 「長時間の運動は、エネルギーの再生産の手段として遊離脂肪酸や血液中のBCAAを使うようになる。⇒この遊離脂肪酸とBCAAの利用により、BCAAの血中濃度が低下すると脳内のセロトニンの合成が増加する。⇒合成されたセロトニン中枢神経に働きかけて疲労感を発生させる。」というものです。まずは、疲労感の機序ですね。

 もう少し詳しくお話すると、

 脳は人間にとって極めて重要な臓器であるため、血液によって脳に有害な物質が入ることを防止するために、脳に入る前に血液脳関門というゲートを通らなくてはならないが、BCAAは、血液脳関門を通過して脳の中に入ることができる。また、トリプトファンという脳内でつくられるセロトニンの材料になる物質も血液脳関門を通過するが、これらの通過の際には、BCAAの輸送体とトリプトファンの輸送体が競合するという性質を持っている。つまり、血液中のトリプトファン濃度に対してBCAA濃度が低下すると脳内へのトリプトファンの取り込みが増加し、脳の疲労度が増加する

ということになります。

 このことを前提に、運動時の疲労回復については、「脳の疲労感を予防するためにはBCAAを含むアミノ酸を摂取してトリプトファンの脳への取り込みを低下させることが有効である。」ということが結論のようです。

 

 そして、今でもこれらの考えはおおむね間違っていないようです。最も大切な点を除けば。

 どこが間違っているかというと、アンダーラインの部分のセロトニン疲労感を発生させる」、「脳の疲労度が増加する」という部分です。

 私も以前は、これまで言われてきた説を信じていました。

 というのは、食事をするとセロトニンという体内物質が出て眠くなる、という話を聞いたことがあったからです。つまり、眠くなることと疲労感には密接な因果関係があるものと勝手に解釈し、私もセロトニン疲労感の原因物質の一つだと思い込んでしまいました。

 しかし、7~8年ほど前でしょうか?偶然にも、うつ病の治療にセロトニンの量を増やす薬が用いられていることを知り、セロトニンに対する認識が変わりました。もし、セロトニン疲労感を発生させるものであるとすれば、気分が落ち込むなどの症状があるうつ病の治療に用いられるはずはありませんので。

 現在では、むしろセロトニンの減少が疲労感を増幅させることは、ほぼ常識となっているようで、セロトニンを減少させるBCAAには、マラソンのレース中などにおける疲労感減少効果は望めないどころか、まるで反対の結果になるようです。

 ただ、BCAAに全く効果がないわけではなく、筋肉に強いダメージが及んで損傷するような激しいトレーニングやスポーツを行った時は、筋肉内ではBCAAが不足するので補った方が良く、また、BCAAのうちの一つであるロイシンは、筋肉にタンパク質を合成するスイッチを入れる働きがあると言われており、筋肉を大きくしたい時にはBCAAの摂取が有効のようです。

 なお、セロトニン疲労の関係について、分かりやすく説明した記事がありましたので、よろしければご覧ください。

セロトニンを増やして疲労回復

 

 このように、これまで常識のように言われてきたことが実は間違いだった、ということは他にもたくさんあると思いますし、今は常識となっていることも、いつかは非常識とされる場合ももちろんあると思います。

 まあ、時にはいたちごっこのようになるかもしれませんが、なるべくなら間違った常識にとらわれずに早く正しい情報が得られるよう、世の中の動きに目を向けて行きたいものです。

 昔、河島英五が歌った「時代おくれ」といういい歌がありましたが、このようなことでは「時代おくれ」にはなりたくありませんので。