昨日(2/10)は、前日まで続いた悪天候が治まったので、LSDをやりました。
もちろん幻覚剤のLSDではなく、Long Slow Distance(長い距離をゆっくり走る)のLSDです。
いつもの一つ森公園のジョギングコースを50周、21.0975kmをキロ8分ほどのペースで走りました。
一般的に言われているLSDの方法は、おおむねキロ7分より遅い一定のペースで長時間走ることのようです。
ただ、このゆっくりペースが意外にきつく、50周というのは最初から決めていましたので、スピードを上げてさっさと50周を終わらせたい誘惑と闘いながら、2時間45分掛けてなんとか走り終えました。
ちなみに心拍数は115で、ピッチは180、ステップは29,684でしたので、ストライドは71cmとなります。
途中で嫌になった原因は、同じコースを何10周もして飽きてしまうこと、遅いので他のランナーに何度も抜かれ悔しいこと、それにフォームを意識しながらあまり地面を蹴らずに体重移動で前に進むのですが、いつもと違う疲れが出たことなどです。
そして、走り終えてもいつものような満足感はなく、どうも私はLSDが苦手です。
LSDについて
LSDが日本でもポピュラーになったのは、オリンピックにも出場したマラソンランナーの浅井えり子さんを育てた故・佐々木功監督の功績でしょう。
私もマラソンを始めて間もない頃、佐々木監督の書いた「ゆっくり走れば速くなる」という本を買って読んだものです。
佐々木監督の言うLSDの理論は、ゆっくりと長い距離を走ることによって身体の末端に眠っている毛細血管を目覚めさせ、身体能力の向上を図る、というものでしたが、その他のことについては、何点かを除けば、あまり覚えていません。
もう一度、見直してみようと思って探したのですが、見つかりません。どうやら捨ててしまったようです。
そこで、現在LSDがどのように認知されているのかインターネットで調べてみました。
例えば、次のようなものがあります。
この記事のポイントだけを抜粋してみました。
LSDで期待できる効果
(1)毛細血管の発達
LSDのような有酸素運動は、毛細血管を活発に変化させ、酸素をたくさん含んだ血液を循環させることができます。また、最大酸素摂取量および全身持久力の向上も期待できるでしょう。
(2)マラソン体質の形成
無駄な脂肪がついて太っている、スプリンター体質(速筋繊維の割合が多い)という方は、マラソン向きの体質とはいえません。しかし、これらはLSDによって体質を変えることが可能。LSDは有酸素運動なので脂肪燃焼に効果的ですし、ゆっくり走り続けることで遅筋繊維がどんどん発達していきます。
(3)ダイエットに有効
LSDに脂肪燃焼効果があることは、上記の通り。さらに負荷が軽いので、ランナーだけでなく、普段走らない方のダイエット方法としてもオススメです。
(4)ランニングの習慣化
ランニングを「キツイもの」と意識することは、習慣化の妨げになる可能性があります。負荷は軽いので、音楽を聴きながらのんびり走ったり、仲間とおしゃべりしながら走ったりすることも可能です。ただし音楽を聴きながら走る際は、周囲の歩行者や自転車等に注意しましょう。
というものです。どれもよく言われていることです。
ただ、私には以前から気になっていることがありました。それは(1)の「毛細血管の発達」です。LSDにより毛細血管が発達することは分かるのですが、以前読んだ雑誌(?)の記事に、毛細血管を発達させるためにはLSDのようにゆっくりとした長い距離のランニングが必要であり、スピードを上げたランではその効果が期待できない、というような内容でした。
どうしても、その理由が分からないので、今、改めてインターネットで調べてみたところ、まったく違うデータが見つかりました。
次の記事の6番目の「毛細血管および脂肪燃焼組織が増えていく」です。
この記事によると「血管やミトコンドリアの数を増やす遺伝子の名はPGC-1α。その発現率を見ると、高強度運動が最も高い。でも乳酸が溜まり始めるLTレベルの8割のゆるい運動でも発現が見られる。」とのことです。
つまり、LSDのような「LT(※乳酸性作業閾値。血液中の乳酸濃度が急に上がり始めるポイント。)レベルの8割のゆるい運動」でも血管を増やす遺伝子のPGC-1αは増えるが、高強度運動の方がさらにPGC-1αが増加するということで、これを見る限り、以前私が読んだ雑誌(?)の記事は間違いだったということになります。
なお、持久的な運動トレーニングが骨格筋のミトコンドリア量増加、筋繊維タイプ変化(赤筋化)、毛細血管新生などをもたらし、エネルギー代謝を促進することは、次の記事に詳しく記載されていますので、ご参考までに貼りつけておきます。
ということで、LSDの効果については、どうやら「ゆっくり走る」ことでなければ得られない特有の効果というのはそれほど多くは無くて、「ゆっくり走る」ことで故障のリスクも少なくなり、走行距離と時間が増えることによる効果が大きいものと思われます。
また、これも以前読んだフィリップ・マフェトン著の「マフェトン理論で強くなる」という本に書かれていた年間トレーニングスケジュールいわゆる「期分け」についてですが、春と秋のレース期以外は「エアロビック(※エネルギーの多くを脂肪から得ている状態)トレーニング」に徹し、レースや強度の高い「アネロビック(※糖質からエネルギーを得ている割合が高い状態)トレーニング」は徹底して排除すべき、とのことでした。
ここでいうエアロビックトレーニングとは、最大心拍数が「180-年齢」までの範囲内のトレーニングということですので、私を含め大多数の人にとってはLSDのような速度のトレーニングになります。
確かに「期分け」の重要性は、私も理解するところですが、春・秋のレース期以外はスピード練習をしてはいけないというのは、あまりに極端過ぎるように思えます。
私としては、苦手なLSDは雪でスピードが出せない冬期間に限定したいと思いますが、冬は寒くて長時間のランは辛いし、痛しかゆしです。(´;ω;`)