ある中高年ランナーの悪あが記

長引くハムストリングス付着部炎に悩まされながらも走ることを諦めきれない高齢者ランナーの奮闘記

雪国のランナーの冬の練習その3(雪道のランニング術)

 秋田市も一昨日(12/19)あたりから本格的な冬となり、昨日(12/20)の正午現在で18cmの積雪となりました。気温も氷点下2度と低く、時折吹雪模様になっていましたので、昨日は晴れ間を見ながら自宅周辺を走りました。

 18cmの積雪と言っても、車が通る道では、タイヤに踏み固められてランニングは可能となっています。

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 ただ、気を付けないといけないのは、そのような道ではスリップして転倒する危険性があることです。

雪道での転倒のメカニズム

 ここで、私が考える雪道でのスリップによる転倒のメカニズムについて述べたいと思います。

 まず、ランニング時の身体の動きですが、前に振り出した脚が地面に接地を始める「①接地期」、その脚が地面を踏み込み地面から反作用の力を得る「②立脚中期」、そしてその脚が地面を離れる前の「③離地期」を経て、その脚が浮いている「遊離期」を一つのサイクルとしています。これをゲイトサイクルというようです。

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 そして「立脚中期」では、接地によって、前方への推進力にブレーキが掛かることになります。

 少なくとも長距離走においては、出来るだけブレーキを掛けない走り方をするようにと言われているようです。しかし、接地の衝撃によるブレーキが掛かることによって、脚の関節の筋肉が引き伸ばされ、その後それらの筋肉が一気に収縮して地面をキックして加速するというメカニズムを考えれば、どうしてもある程度のブレーキは必要と思われます。

 そして、このブレーキが雪道でのランニングを危険なものにしているのです。雪の無い道路では、何でもないこの動きですが、路面が凍結して滑りやすくなっていると、ブレーキは掛かりません。物理学的に言うと摩擦係数が少ないため、とでも言うのでしょうか(?)。ブレーキは掛からないのですが、その脚は次の蹴り出しに備えているため、脚が予定より早く後ろに折りたたまれ、身体は前につんのめってしまうことになります。(接地初期で滑ってしまい、重心がまだ後ろにある場合には、後ろに転倒することもあると思います。)

 もし、その場所で滑ると分かっていれば、あらかじめ身構えてスケートでもするように、接地している脚一本でバランスを取って、転倒せずに前に進むことも可能かもしれませんが、誰も次の一歩で滑るなどと思って身構えて走る人などいないでしょう。

 滑った瞬間にもう一方の脚を素早く踏み出して転倒を防ぐことが出来れば良いのですが、その脚はまだ後方にあり、おそらく間に合わないことが多いと思われます。その結果、あえなく転倒ということになるのですが、次に、雪道のランニングでの転倒のリスクを減らす方法について、私の経験上のお話をしたいと思います。

雪道のランニングで転倒のリスクを減らすために

①雪道用のランニングフォーム

 車のタイヤでもそうでしょうが、なるべく接地面を大きくすることが、スリップ防止に必要です。

 そのため、私は、接地の際には足裏全体で接地し、蹴り出しも地面を引っ掻くようにはしないで、身体を前方へ押し出すのではなく、上方へ押し上げるような感覚で走っています。

 もちろん、この走り方ではエネルギー効率が悪くなってしまうのですが、転倒の危険性を減らすためにはやむを得ません。

②走行スピード

 当然のことですが、スピードが速いほど運動エネルギーが大きいわけですから、接地の際には足裏により大きい力が加わります。

 そして、一定の力を超えた時にスリップすることになりますので、そうならないように出来るだけゆっくり走る方が無難です。

 私は、路面の状況にもよりますが、キロ7分から8分で走ることが多いです。

③路面状況への注意

 もう一つ大切なのは、路面状況へ細心の注意を払いながら走ることです。

 同じスピードで走っても路面状況によって滑りやすさが全然違います。

 まず滑りやすいのは、スケートリンクのようにアイスバーンになっている場合です。

 これは、もうランニングフォームや走行スピードで対応出来るような状況ではありませんので、その場所では走ることを諦めて迂回する方が良いでしょう。

 また、アイスバーンというほどではありませんが、道路に積もった雪が車のタイヤで踏み固められて、つるつるになっている場合があり、これもとても危険です。

 このような場合には、車が踏み固めていない道路の端を走るようにしています。

 私が走り始めた20数年前には、まだ、タイヤに金属の鋲を打ち込んだスパイクタイヤが使用されており、その時は鋲が雪を削るため、雪が踏み固められても小さな凹凸があって、一定の滑り止め効果がありました。現在のスタッドレスタイヤでは、そのようなことはなく、本当につるつるになってしまいますが、スパイクタイヤアスファルトを削ることにより発生した粉塵公害のことを考えるとやむを得ません。

 また、除雪車が除雪した後の雪道も注意が必要です。

 除雪車がブレードで除雪した際に、踏み固められた雪を削った場合には、その表面はまるで鏡のようになって、非常に滑りやすくなっています。除雪した後で新たに雪が積もっていなければ、その状況は分かるのですが、新たに積もった雪がそれを覆い隠すとその状況が分からずに、ほとんどの場合はスリップしてしまいます。私も、それで転倒したことがあります。

 除雪車が来た後は、そのような危険があることを念頭に置いて、出来れば除雪車のタイヤの跡(除雪車はタイヤにチェーンを巻いていますので、チェーンの跡が除雪後の雪に残っています。)を走る方が良いと思います。(※走行中は車には十分注意しましょう!)

 その他に危険な個所は、いわゆる「すり鉢道路」です。

 狭い道ではよく見られるのですが、除雪車等により道路の両脇に寄せられた雪に少しずつ車が乗り上げ、それらの雪も踏み固められて道路の両端が中心部より高くなっている道路状況です。

 この場合、足の先は道路の進行方向に向いているのですから、必然的に足裏の片側しか接地しないことになり、極めて滑りやすくなります。私も何度も転倒しました。

 また、橋の上は気温が低く凍りやすいし、横断歩道等の塗装の上、それにグレーチング(金属製の側溝の蓋)の上も滑りやすくなっています。もちろん、坂道は走らないようにします。

 

 以上、転倒リスクを減らす方法について、私の経験から述べさせていただきましたが、雪道用のランニングシューズを用いる方法もあると思います。

 私も大分前には、雪道用のランニングシューズを使ったことがありますが、つるつるになった路面ではやはり滑りましたし、底が硬い感じがして馴染めずに、すぐにやめました。

 最近では、スパイク付きのランニングシューズもあるようで、それならつるつるの路面でも一定の効果はあると思いますが、コース全体がつるつるになっている場合はあまりないので、今のところ、購入は見合わせようと思っています。

 次の写真は、昨日、近所を走った後のシューズの裏ですが、こんなに雪が付くとはたしてスパイクが利くのか疑問もあります。

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転倒におけるスリップとつまずきの違い

 さて、一口にランニング時の転倒と言っても、これまで述べてきたような「スリップ」によるものと「つまずき」によるものがあります。

 そして、この2つの中で転倒の可能性が高く、被害も大きくなりがちなのは「スリップ」だと思います。

 「スリップ」の場合は、その直後にバランスを立て直すのが難しくて転倒の可能性が高くなり、また転倒までの時間が短いことから防御の態勢が取りにくくなります。

 私もスリップして転倒した時は、顔面から凍った路面にぶつかり、通常は行うであろう手等による衝撃軽減の防御は間に合いませんでした。

 一方、「つまずき」は、足を前に進ませようとしたとき、何かにぶつかって、その足が前に進むのを妨げられてよろけることを言うと思いますが、つまずいている動画を見つけました。 

つまづく - Bing video

 この動画のように、つまずいた時には、状況にもよるでしょうが、普通はぶつけた足をもう一度、今度はもう少し高く上げて障害物を乗り越え、バランスを崩しつつも、反対側の足も上手く送って何とか転倒を免れる場合が多いと思います。

 また、仮に転倒に至った場合でも、転倒するまでの時間がスリップした場合よりは長いことが多いでしょうから、顔面などの大事な部分は地面にぶつからないように手等で防御出来るはずです。

 よって、もちろん「つまずき」にも気をつける必要はありますが、ランナーは特に「スリップ」には十分に注意しましょう!