昨日公開したブログの「全日本マラソンランキング(加齢とタイムの関係)」では、全日本マラソンランキングのデータをもとにランナーの年齢とタイムの関係を見るために下の表をお示ししました。
そしてまた、個々のランナーのタイムの経年変化を見るために、この全日本マラソンランキングの第1回上位100位以内のランナーの2019年度の状況を次の表にて示しました。
そして、これらのランナーの増加率の平均は28.7%であること、さらにはこの中で50%以上タイムが増加しているランナーのデータを除外すると、22.4%となることを書かせていただきました。
ただ、これを書いている時に一つの疑問が沸いて来ました。
というのは、最初の表ですが、2004年度の100位のランナーのタイムと2019年度の100位ランナーのタイムを比較すると、その増加率は、16.4%であり、上記の28.7%又は22.4%は、いずれもこれを大きく上回っているのです。
また、上の表は2019年度の順位が入っていませんが、それを入れたものを作ってみました。次のとおりです。
このように、2019年度もフルマラソンを完走した40人のランナーのうち、実に31人のランナーが2004年度より順位が下がっているのです。
これらの現象の理由をいろいろ考えたのですが、明確な答えは出せませんでした。
順位が下がっているということは、2019年度にはこの表に載っていない人たちが多く上位にいるということであり、おそらくその中には、フルマラソンを始めてそれほど年数が経過していない人たちも多く含まれているものと思われます。
そしてその人たちは、ある程度高い年齢で始めたので、2004年度の100位以内ランナーよりも開始当初はタイムが悪かったけれど少しずつタイムを伸ばし、一方、2004年度の100位以内ランナーは、年々タイムが落ち、やがて両者のタイムは逆転した、という感じでしょうか?このことをイメージ図で示すと次のようになります。
Aは、2004年度100位以内ランナー、Bは、2019年度にそれより上位になったランナーです。(※これはあくまでもイメージであり、実際のランナーのデータではありません。)
どうしてこのような現象が起きるのでしょうか?年齢による衰えだとすれば、AもBも同じく歳をとるはずです。
考えられるのは、Aは長い年月走っており、ピークは既に過ぎて、ややモチベーションが下がって来るため、そのことがさらにタイムの低下に拍車をかけているというような状況も多くあると思います。
一方、Bは走り始めてそれほど年数が経っていないのでタイムが伸びる又はタイムを維持している状態のため高いモチベーションを保っているので、当分はタイムの大幅な低下はないものと思われます。
そしてある時、AとBのタイムは逆転する、これが私の予想したシナリオです。
マラソンのタイム低下は年齢のせいじゃない!?
しかし、私の勝手な想像よりも、この疑問を解く大きなヒントとなる記事を見つけました。
鈴木彰さんというNPO法人あっとランナー代表理事の方の記事で
マラソンのタイム低下は年齢のせいじゃない!?加齢に伴って体に起こる「本当の変化」 | RUNNING CLINIC
というものです。
この記事は、われわれ中高年ランナーにとっては、非常に参考になりますので、ご一読をお勧めします。
時間の無い方のため、この記事を要約すると、次のようになります。
ストレッチング、モビリティ、ドリル等の動きづくりをしっかりと行わないと、「①筋が拘縮する→②動きがアンバランスになる→③フォームが乱れる→④崩れたフォームでの継続的なトレーニングになる→⑤体への負担が増加する→⑥怪我をする→①筋が拘縮する」というような負のスパイラルに陥ってタイムは低下する一方となる。
(また、トレーニングについて、)自分の出来ること・好きなことに特化したトレーニングになっていることがあるが、そうすると、使える部分を使い、使えない部分は使わない。あるところは、徹底して強化していくが、あるところはほとんど手を着けないということになると、結果的に、非常に大きな偏りが生じる。持久系スポーツというのは、心肺と筋に「なんらかの」負荷さえかければ機能は向上し、それなりに、長くも速くも走れるようになる。しかし、ある程度以上のキャリア・年齢になってくると、機能的な偏り・アンバランスのごまかしが効かなくなって来る。加齢とともにタイムが伸びなくなってくるとか、徐々に低下していくということの全部とは言わないが、けっこうな部分はこのことによって起こるのである。
とのことです。つまり、ストレッチなどをしっかり行わないことによる筋の拘縮や偏ったトレーニングによって生じた身体の偏り・アンバランスが加齢によってごまかしが効かなくなって来ることが、加齢とともにタイムが伸びなくなることの大きな原因のようです。
となると、これらに該当するランナーは、長年このような状況だとすれば、いわゆる金属疲労(勤続疲労?)を起こしていることになり、同じ年齢でも経験が短くまだ勤続疲労を起こしていないランナーに、タイムで負けてしまうことになります。
では、これらに該当するランナーつまり自己流である程度まで来てしまった人は、もう取り返しがつかないのかということについて、鈴木彰氏は、「そんなことはありません。意外にも、自己流から、基本に立ち返ることで、けっこうカバーが効きます。人間の身体は不思議なもので、違う負荷をかけていくことで、更に変わる・戻る!のです。(中略)少なくても50~60歳くらいなら問題ないですね。」と言っています。
私は、最近になって体幹トレーニングやストレッチの時間を増やし、また、フォームの矯正を図っていますが、なにぶん自己流なので、果たして効果はあるのか気になるところです。
効果を確認するためにも早くレースに出たい!
現在エントリー中の山形県の長井マラソンが開催されることを祈っています!