ある中高年ランナーの悪あが記

長引くハムストリングス付着部炎に悩まされながらも走ることを諦めきれない高齢者ランナーの奮闘記

全日本マラソンランキング(加齢とタイムの関係)

ラソンランナーの加齢とタイムの低下

 マラソンに限ったことではありませんが、おそらくすべてのスポーツにおいて選手の加齢はパフォーマンスに影響を及ぼし、最初は加齢がキャリアとして働いてパフォーマンスが向上するものの、やがてはピークを迎え、その後は低下に転ずる場合がほとんどと思われます。

 アメリカのランニング誌の著名なコラムニストであるジョー・ヘンダーソンの著書「ランナーのメンタルトレーニング」の中には、「長くランニングを楽しむ方が、一時的なレースでの成功よりも大切だと考えるようになった人は、ペースについて、これまでとってきたやり方を見直さなくてはなりません。それは、1回1回のランニングやレースに当てはめるのではなく、ランナーとしての生涯のペースについて考えるのです。」との記載があります。

 しかし、多くのランナーは、おそらくランナーとしての本能から、タイムへのこだわりは持ち続けるものと思われ、一方で、どのランナーも加齢による老化という残酷な現実からは逃れようもなく、タイムの低下がモチベーションをも低下させてしまっていることが数多くあるように思われます。

全日本マラソンランキングの意義

 このような状況の中、株式会社アールビーズが発行する月刊誌「ランナーズ」では、2004年度から全国すべての陸連公認コースにおけるフルマラソンの大会の20歳以上の完走者データを集計しており、「全日本マラソンランキング(旧名称:フルマラソン1歳刻みランキング)」として毎年度発表しています。

 これによりランナーは、自分と同じ年齢の全国のすべてのランナーの中における自分の位置を知ることが可能になり、仮に前年度のタイムから若干低下したとしても場合によっては相対的な位置が上がっていることもあることなどから、加齢によるタイムの低下がモチベーションの低下につながることを一定程度防いでいるものと思われます。

 データがデジタル化されている現代ではありますが、膨大なデータを集計・分析し、その結果を私たちランナーのために発表してくれている株式会社アールビーズには、感謝!です。 

同年齢の完走者数とタイムの変遷

 それでは、全日本マラソンランキングのデータをもとにランナーの年齢とタイムの関係を見ていきましょう。

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  上の表は、この企画が始まった2004年度に52歳だったランナー(※私も含まれます。)を対象に2019年度までの1位、100位のタイムと完走者の中間タイム、それに完走者数を表したものであり、タイムは、1位、100位、中間ともに年齢を重ねるごとに低下する傾向が見て取れます。

 また、完走者数は、ランニングブームの影響もあってか、63歳までは増え続けたのですが、64歳からは減少に転じています。これは、やはり年齢を重ねることにより、怪我や病気、家庭の事情等で走れなくなる人やモチベーションの低下で走るのをやめてしまった人が出てくるためでしょう。ただ、67歳では、かなり大幅に人数が減少していますが、これは新型コロナウィルス感染症の発生で多くの大会の開催が中止となったことの影響も大きいものと思われます。

 第1回100位以内者の現状

 次に、個々のランナーのタイムの経年変化を見るために、この全日本マラソンランキングの第1回上位100位以内のランナーの2019年度の状況を次の表に示します。

 このデータの取得方法ですが、月刊誌「ランナーズ」2005年7月号の付録である「フルマラソン1歳刻みランキング(現全日本マラソンランキング)記録集2004年4月-2005年3月」に記載されている上位100位以内のランナーについて、それぞれの2019年度のタイムを「株式会社アールビーズ」が開設するウェブサイトの「RUNNET」により検索する、という方法によって行いました。なお、すべての年齢についてこれを行うことは大変な労力を要するので、2004年度に52歳の男子ランナーだけを対象としています。

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 このように2004年度に上位100位以内だったランナーではありますが、その中で15年後の2019年度にフルマラソンを走った人は40人しかおらず、同世代の仲間がだんだん減っていくような気がして残念です。(ただ、全日本マラソンランキングの対象は、基本的には日本陸連の公認コースで行う大会であるため、未公認の大会で走っている、あるいは新型コロナウィルスの影響で中止となった大会だけに出場することにしていたなど、実際はまだフルマラソンを続けている人もいると思われます。)

 次にこの(タイムの)増加率の分布を表に示すと次のようになります。

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 そして、増加率の平均は28.7%ですが、中には15年間で50%以上タイムが増加しているランナーも6人います。その人たちの現状は知る由もありませんが、意欲を持って継続的にランニングに取り組んでいる人についての判断基準をタイム増加率で50%未満の人と仮定すると(※50%以上の人にはごめんなさい!)、22.4%となりますのでこの数字を参考にする方が良いかも知れません。

それを踏まえての自己評価

 一方、私について言えば、2004年度には3時間11分58秒、2019年度には3時間39分43秒で増加率は14.5%と上記の平均増加率を下回っていますので、タイムが年々落ちている言ってもそれほど悲観することはないでしょう。

 それに安心することなく、少しはタイムを戻すくらいの勢いで練習に取り組みたいのですが、4日前に発症した腓骨筋腱炎(?)がまだ完治しませんのでそろそろ焦り始めました。

 まあ、「年寄りの冷や水」とか「過ぎたるはなお及ばざるが如し」というような言葉もありますので、先人の教えを念頭に置いて、無理をせずに頑張りたいと思います!